2014年2月6日木曜日

創業103年!老舗VC!Bessemer Venture Partners(BVP):ベッセマーベンチャーパートナーズとは?

ベッセマーベンチャーパートナーズとは?



http://www.bvp.com/

BVPの歴史は、サー・ヘンリー・ベッセマーの説明なしには語ることができない。





サー・ヘンリー・ベッセマー(Sir Henry Bessemer1813年1月19日-1898年3月15日 85歳)


・ベッセマーは1838年から1883年にかけて、129以上の特許を取得している発明家である。それらは主に、鉄、鋼、ガラス、砂糖、大砲などの兵器という5種類の分野に集中している。 
 1850年から1855年にかけて安価な鋼の製造という問題をてがけ、その製法の特許を取得した。1856年8月24日、ベッセマーはチェルトナムの英国科学協会の会合で "The Manufacture of Iron Without Fuel"(燃料のいらない鋼の製造法)と題して発表を行った。その全文はタイムズ紙にも掲載された。そして、製鉄業者に改良したシステムを採用させようとしたが拒絶されたため、自ら製鋼業に乗りだす決心をした。友人の援助でシェフィールドに土地を購入して製鋼所を建設し、鋼の製造を開始した。Henry Bessemer & Co. は1トン当たり20ドルの安値で鋼を販売できるようになっていた。すぐにライセンスの申込みが殺到し、ベッセマーは100万ポンド以上を手にすることになった。※通貨価値はもちろん現在とは違い、とてつもない大金。日清戦争の賠償金はポンドで支払われた(http://d-arch.ide.go.jp/je_archive/society/another_win/unu_jpn61_p016_h02.html )ので、この資料から1894年時点で1ポンド=10円と仮定する。
そして、当時の1円は、米価換算(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B1%B3%E4%BE%A1%E3%81%AE%E5%A4%89%E9%81%B7 )で現在の2万円にすらなる。ということは、現在の日本円に換算すると、ベッセマーは1,000,000×10×20,000=200,000,000,000円:200億YEN!!..。


・BVPの歴史

 1872年、Henry Phipps, Jr.とAndrew Carnegieはカーネギースチール(USスチールの前身)を共同で立ち上げた。それは、Henry Bessemerから特許を受け継いだため、大量生産できる、革新的な鋼鉄製品を販売して利益を得ていた。彼らが29歳の時、カーネギースチールをバイアウトし、Henryは今までの収益を他の起業家へ再投資するために ファミリーオフィス(family office:米国で発達した概念で,資産家のファミリーの資産管理/その他のニーズを満たすための組織)を立ち上げた。彼は、自社を成功に導いた発明家に敬意を表するために、Bessemerの名を採用した。
 1世紀後、ベッセマーベンチャーパートナーズ(以下BVP)はVC業界で最も成功して長く続いているベンチャーキャピタルの一つになった。BVPの歴史を通して、IPOまで育てたスタートアップは100を超す。
 今日、BVPは、NY・シリコンバレー・ボストン・ムンバイ・ヘルツーヤ(イスラエルの中央沿岸地方)に拠点を持っており、$4B以上の資金を管理し、世界中の130以上の会社に投資している。BVPは投資活動を、いくつかの充実した”ロードマップ”(投資の仮説)に則り、集中している。
ロードマップ(投資仮説)の例としては、幅広い範囲の産業,地理,段階(ステージ)の会社と提携する機会を探し求めること。多くのBVPのポートフォリオのように、Ungermann BassやVerisignはこれらのロードマップから生まれたアイディアを基に具現化された。


・BVPのスゴさ

 ベッセマーベンチャーパートナーズを色々な数字で追ってみると、そのスゴさがよくわかった。
創業103年で、いままでのIPO件数108件。単純計算で1年に1社は必ず上場するペースとか凄すぎる….。同じ起業家を4回も支援したり、長期投資だと40年かかったものもあるという。
現時点のファンドマネーは$1.6Bで、最小の投資額は$7500、最大の投資額は$66Mである。45人のプロの投資家が在籍。1年間に、4,380人の起業家と会い、起業家との食事は11,250回に及ぶ。

・人物



Bob Goodman-Founder
-BVPに入る前に、大きな2つの遠距離通信関連の会社を成功させている。1997年に、DSCの買収を通して、Alcatelに売却されたCelcoreとBoatphoneだ。前者は無線装置の会社で、後者は、カリブのセルラーオペレーティングのグループ会社だ。どちらの会社でもCEOを務めている。1998年、BVPのNY進出時に、パートナーとしてジョイン。 ソフトフェア・モバイル・デジタルメディア・ヘルスケアを担当した。ボブは、彼の投資先に起業家・経営・営業・投資の専門知識をもたらすことができる。ベンチャーキャピタリスとして、多くの成功した会社を作り上げる事に関わり続けている。

Ed Colloton-Founder
Toni Campbell-Founder
Rob Chandra-General Partner
David Cowan-Partner
J. Edmund Colloton-Partner
Byron Deeter-Partner
Adam Fisher-Partner

・投資戦略(上記で述べた”ロードマップ”の一部)

  BVPでは、多くの時間を費やして、スタートアップによる破壊で、最も豊作をもたらす産業をマッピングしている。実践している分野に深くコミットすることで、早急に新しい投資の機会を評価する。さらに重要な事に、そこから得た知識・記録をポートフォリオ企業の取締役会で伝えることができる。
 毎年、BVPでは、”ロードマップ”(投資の仮説)再評価し記録を新しくする。そして、適切にこれからの業務を再編する。
だから、成長中の新しい分野、まだここにプロファイルする時間がなかった他の分野(以下に記述するリスト以外の分野)に特別な実践知を持つ。
 そして、もちろん、熱心にイノベーションがマーケットにニーズと合いそうな分野を知ろうとしているままである。あくまで、ロードマップは指針としているだけで、その範囲に限定している訳ではなく、次の革新的なアイディアに対して柔軟に対応している。以下は、そのロードマップの概要のリストだ。
 

・ロードマップ

-ブラジル
BVPは2011年以降、ブラジルで投資活動を行なっている。OLXを、南アフリカ最大のメディア会社であるNaspersへの売却につ続いて、2012年にサンパウロオフィスをオープンした。大抵、ブラジルの投資会社と共同で投資を行なっている。

-イスラエル
BVPでは1992年からイスラエルに投資を行なっており、2007年ヘルツーヤに拠点をオープンした。パートナー達は、シードからクローズステージまで、あらゆる分野(ソフトフェア・インターネット・半導体・ストレージ・クリーンテクノロジー )での投資を考えている。 

-インド
インドの活気に満ちた経済は、国内と輸出の両方の消費の需要を満たすに大きな可能性がある。1970年代にシリコンバレーに進出した時、BVPは長期的なチャンスを見たのと同様に、BVPは、インドの経済が中産階級の繁栄と革新の成長に牽引されているのをチャンスと見ている。2004年以来、BVPは21社に投資している。ムンバイを拠点にしており、会社を成功に導くために必要なグローバルなプラットフォームとローカルな知識や技術の専門知識を兼ね備えている、14人の投資顧問チームを設立している。

-ロシア
BVPは積極的に2005年以来、ロシアに投資し、地域で最も活発な国際的企業の一つになっている。投資先としては、Parallels(Serguei BeloussovとIlya Zubarevによって設立された仮想化ソフトウェアのグローバルプロバイダー)、KupiVIP( Oskar Hartmannによって設立されたロシアの大手EC)とEnforta(ロシア最大のWiMAX事業者)などがある。我々は、積極的にロシアのインターネット、ソフトウェア、および技術対応のサービス事業に$ 5Mから$ 50Mを投資している。通常、ロシアの投資会社との共同投資を行なっている。 

-クリーンテクノロジー(地球環境問題の解決策となるような技術。再生可能エネルギー・太陽光発電・風力発電・バイオマス燃料・スマートグリッド・浄水技術など)
BVPのもっと効率的な製品の生産工程への関心は、ベッセマーの製鋼法が安価で短時間の製鋼を可能にしたことに遡る。
現在、ポートフォリオには世界中の多様な解決策を提供する企業を含んでる。例えば、稲わらの副産物から電気を作る、高パフォーマンスで環境に優しいgreen batteriesなど(正直少し良くわからなかったです。おそらく、Hierarchical porous carbon derived from rice straw for lithium ion batteries with high-rate performance
稲わら由来階層的多孔質炭素がリチウムイオン電池に応用できるみたいな事だと思います。)

-クラウドコンピューティング
我々は、クラウドコンピューティングを、SaaS (Software-as-a-Service ), PaaS(Platforms-as-a-Service ) , IaaS(Infrastructure-as-a-Service)まで含むと定義をしている。 
クラウドコンピューティングは、今後10年間、ソフトフェア産業の最も重要な傾向だと信じている。急成長する市場における、多くの初期の開拓者達と一緒に働くという幸運に恵まれており、活動的に今のポートフォリオを育てるために投資を行っている。

など。あとは、ヘルスケア・サイバーセキュリティ・インフラ2.0・モバイル・オンラインの小売業に力を入れている。


・BVPの投資先(有名所)

-linkedin
ビジネスに特化したサービスを特徴としたSNS。
カリフォルニア州サンタモニカ
共同創業者リード・ホフマンのリビングルームにてLinkedInは始まった(2002年)
2006年 投資
2011年 株式上場 

-Skype
インターネット電話サービスを提供
skype発祥の地はルクセンブルク
2003年 投資
2005年 eBayにより約26億ドルで買収
(2011年 Microsoftにより85億ドルで買収) 

-yelp
2004年 設立
ローカルビジネスディレクトリサービスおよびソーシャルネットワーキング機能を持ったレビューサイトを提供する
サンフランシスコの企業
2005年 投資
2012年 株式上場 

-pinterest
ピンボード風の写真共有ウェブサイトでイベント、興味のあること、趣味などテーマ別の画像コレクションを作成し管理するアプリ
2011年 投資 

-box
10GBの無料容量を使って、いつでもどのデバイスからでも簡単にアクセスでき、ファイルの編集やコンテンツを共有し、チームと連絡を取り合うことができるオンラインストレージサービス。
P&Gや富士フィルム、スタンフォード大学などでも導入
2011年 投資 

-zoosk
独身男女の求める条件をマッチさせ、オンラインデートを提供するウェブサービスを提供
現在急成長中
2009年 投資

-shopify
中小企業向けにオンラインストアを低コストで数分のうちに作れるソフトウェアやアプリを提供
7万を超えるオンラインストアを生み出した。
2010年 投資 

- wix
無料で簡単にデザインしてオリジナルウェブサイトを作れるサービスを提供
現在、ユーザー数 約4千万人
イスラエルで創業
2007年 投資 

-Zoosk
独身男女の求める条件をマッチさせ、オンラインデートを提供するウェブサービスを提供
現在急成長中
2009年 投資 

-twitch
ユーザー自身が発信するライブストリーミングビデオやゲームのポータルサイト
2012年 投資 

-playdom
ソーシャルゲームを提供
2009年 投資
2010年 Disneyにより買収 

・アンチポートフォリオ(逃した投資先を自社サイトに乗せている。)
アンチポートフォリオはnaverまとめほかその他にある程度まとめられているので割愛する。
逃した投資先を堂々と公開(後悔)!米大手VCベッセマーベンチャーパートナーズの潔さが気持ち良い! 

・2013年の実績


IPOは4件に昇る。以下に各社の概要を記していく。

1.Acceleron Pharma
2007年の後半に初投資、その時Acceleron Pharmaは、ACE-031(薬)を有していた。それは、筋肉組織の量と強度を増す医薬品として開発されている。デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)や癌の治療薬として利用されている。BVPは、次の投資ラウンドでも支援した。そして、2013年9月にIPO。時価総額は$1.7B。

2.Criteo 
BVPは、2010年のファイナンス及び、全ての投資ラウンドに参加している。リターゲティングに特化したディスプレイ広告のアドネットワークを構築・提供している。2013年10月のIPOは、当時EUのインターネット企業の中では最も大きいものだった。時価総額は、$2.3B。

3.OvaScience 
2011年に、BVPは、Ovascienceに投資を行なった。不妊治療のための、新しい開発・発見・商品に力をいれている。
1年後に、Form 10 (最初の注目のバイオ企業)に入り、4月にNASDAQでIPO。時価総額は$191M。

4.Wix 
2007年、wixは、普通の人でもweb上で簡単にリッチコンテンツを作る事を可能にするをいうヴィジョンを持っていたが、プロダクトがなかった。BVPは、最初の投資を行い、どの投資ラウンドでも支援し続けた。最初のBVPの投資に続いて、Adam Fisher(BVPのパートナー)が会長としてジョイン。そのままIPOを達成した。11月のIPOは、ここ10年のイスラエルの中で最も大きいものだった。時価総額は、$1.3B。

参考:
http://www.ever-rise.co.jp/adtech-blog/criteo.html
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/3684/
http://nomadp.com/brazilbusiness/
http://www.crunchbase.com/financial-organization/bessemer-venture-partners
http://thebridge.jp/2013/07/israel-startup-nation
http://matome.naver.jp/odai/2138277916893074801
http://www.bvp.com/
http://www.bvp.com/portfolio/antiportfolio
http://www.prnewswire.com/news-releases/bessemer-venture-partners-enjoys-strong-2013-results-242785021.html
http://www.bvp.com/strategy
など。

長文お読み頂き、ありがとうございました。
ご意見・ご感想がお有りでしたら、メールかコメントお願い致します。

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